文字を扱うのは難しい。
文字ひとつでデザインが決まる。
ピタッとはまる書体を選べたりタイポをつくれると、すっごくいいデザインになっていく。
文字が世界観をつくると言ってもいいくらい。
25か26歳くらいのとき、友達と『映画感染』という雑誌を作っていて、
表紙タイトルのロゴがうまくいかなくて、店頭で見るとはずかしくて、はずかしくて。
これまた『映画感染』って、漢字ばかりで、へたすると中国雑誌っぽくなるし、
邦画がとても勢いのあった時で、表紙は2号目の村上淳さんをはじめ、松田龍平くんとか
若い役者さんたちが無料で出てくれて、カジュアルで若い人たち向けの雑誌なのに、下手でなかなか上手くいかない。
くやしくてくやしくて。
なので、しょっちゅうタイトルロゴを変えてた。
仕事の合間は、ひまさえあれば『映画感染』のロゴづくり。ロゴづくり。
12号くらいまでつづいたけど、3回ロゴを変えたな〜(笑
でも、最後のロゴに変えてから、置いてくれる書店も増えて、
青山ABCや渋谷のLOGOSにも平積みされたりし始めてて、雑誌として認識されるようになれた。売り上げもよくなった。
もちろん中身もやっていくうちにどんどん充実してきたので、タイトルだけのことではないと思うけど、
タイトルイメージは大事な大事な要素なんだと思った。
実際、店頭で並んでいるのを見て、ふるえるくらい(笑)恥ずかしい思いをしたりしたのもよかったのかも。
それで何度も文字を扱っていると、文字のことが少しづつわかってくる。
文字にも絵と同じように、本当に表情があるから。
ロゴはいっぱいつくるべきだと思う。
ひとつつくるごとに、ひとつ文字のことを知っていける。知ればうまくなれる。
今も、文字がうまくなりたくてしょうがない。
仕事がくると、キャッチコピーが楽しみ。合う書体を選ぶのもウキウキする。
どんなものを作れば合うかを考えるのが楽しい。
映画感染。今見ると、まだまだはずかしい部分もいっぱいあるけど、
若いときにがんばった感じがして、今みてもういういしくて、なんか、いい。