『うまれるものがたり』という本がマイコミから出版されました。 yohooで「コウノドリ」の放映が終わった頃に関連してか、紹介もされた本です。 友人でもある写真家の繁延あづさ氏の撮ってきた6つの家族の写真中心の本ですが、 装丁と中頁デザインも全て担当させて頂きました。 忙しくてなかなか自分のブログにアップできずにいたのですが、 改めて自分の出産と、この本への想いを書いてみます。
この本のお話をもらったのが、わたしの妊娠がわかった直後でした。 本当になんの因果か。ご縁を感じつつ、 どういうデザインになっていくのか、すごく楽しみでした。 いろいろありましたが、産後にデザインさせて頂き本当によかったと思っています。原稿を読みながらデザインしていましたが、泣いてしまって、モニターがぼやけるんですよね。笑 泣かないように歯を食いしばって、必死でデザインしていました。 出産ってすごいことです。 妊娠した瞬間、家族の形が変わります。 新しい“ものがたり”が夫婦間にでき、なんともいえない幸せな風が吹くんですよね。 出産してからも、ものすごく大変ですが、ものすごく楽しいのです。これがまた。 産むまで知らなかったんです。 こんな素敵な世界で、こんな感動に出会えるなんて。 わたしは高齢出産だったこともあり、染色体異常についてもはじめて知り 考えさせられる毎日でした。 日本は教えなさすぎだと思いませんか。 34歳を超えると、染色体異常で産まれる赤ちゃんの確立がすごく高くなります。 最近は高齢でもみんな産んでるから大丈夫じゃない?という意見もあるのですが、 いやいや。 公表している人は、健康な赤ちゃんが産まれたから公表したんです。 40歳前後でいうと、40人に1人が染色体異常で産まれる確率だったりするんですよ。 いわゆるダウン症などですが。 クラスに1人の確率と思うとものすごく高いですよね。 もしそういう子が産まれたら自分はどうするのか。そんなことを考え続けた妊娠でした。 そして、無事、健康な子が産まれたので公表しているんだと思います。 だから最近は若い子に会ったら、早く産むことをすすめています。 本当に。 そしてわたしは、結果、帝王切開での出産になりましたが、 おなかを痛めていない、と軽くみられがちですが、、、、死ぬほど痛いですっ。 知り合いのりかさんの言葉を借りると 「切腹を失敗した武士の気持ちがわかる」ってくらい痛いです。 産後も復活が遅く、3ヵ月すぎても歩くのもヨチヨチなくらいつらかった。 実家が遠く、東京で産んでしまったし、母が来るのを待っていたけど たまたま体調をくずし来れなくなり、もう少し自分が若い時に産んでいれば 両親も若くもっと面倒見られたんだろうなという思いがあったり、 それでも2週間くらいでかけつけてくれ、喜んでくれた両親の顔を忘れられないですし、 初産なのに、東京で主人と2人で産後を乗り越えた死ぬほど大変だった苦労とか、 そんなこともいろいろ。いろいろ濃度の濃い10ヵ月。 そんなことがあるのが、出産でした。 自分の出産で、そんな大変な想いが各家族にあるのだと知ったんです。 知り合いの代理店の方で、男性ですが、 こどもが産まれるたびに育児休暇をとっている方がいました。 男性でめずらしいですよね。 自分が出産するまで理解できなかったのですが、今はなんて素敵な話だろうと思います。 最初の1ヵ月が本当に大変なので、側にいてくれたらどんなに助かるか。 そして男性だって赤ちゃんといたいし、男性だって出産はおおごとですから。 女性だけずるいじゃないか。ですよね。 そういう家族の想いを知ったんです。 そんな想いがつまった1冊なんです。だからグッとくるんです。 「コウノドリ」ではないですが、毎回が感動なんですよね。 だからこの本がすごい。という話をしたく、長くなりました。。。 デザインの話もちょっとしたいと思います。 この本をつくるにあたり気をつけたことがあり、 それはデザインしすぎないことでした。 どうしてもデザイナーは自分の奇蹟を残したくなってしまうもなのですが、 もちろん私もそういうものも多いのですが(ははは)、 今回はできるだけデザインしない。 写真と内容に集中してもらえるように。そう思いました。 あづさちゃんと編集の蓮見さんが、毎朝5時に(家族が起きる前)、 スカイプで会議をし、詰めて詰めて作った2年越しの原稿でした。 だからこそ、そのままの二人の想いを伝えたくて、奇をてらわないというか、 欲を出さないというか、そんなデザインになっています。 発売からしばらくたちましたが、 あづさちゃんのところに、あたたかいお手紙が届くそうです。 今までの中で手応えが一番ある本だと言ってました。 ばか売れするようなたぐいの本ではないと思うのですが、 ゆっくりじっくり、あたためていけたらいいのではないかと思います。 amazonで発売しています